誰かのお土産のクッキーは
子供のころ母の知人が焼いてくれたクッキーと同じ味がした
バターと砂糖をたっぷりと使った
しっかりとした硬さのあるそれは
母の作るクッキーとは違った味がした
特別美味しいわけでも
おいしくないわけでもなかった
クッキーをつくるその人の横で
私は一生懸命レシピをメモした気がするのだけれど
そのレシピを見てクッキーを焼いた覚えはない
小さいころの記憶の断片
その家には猫がたくさんいて
私はそれを見るのが好きだった
その人には子供がいなくて
私を可愛がってくれていた気がする
私は彼女のことが好きでも嫌いでもなかった
ただ何となく異質なものだと思っていた
それはたぶん彼女が私の知らない母を知っていたから
私が居る前の世界の母を
あのころ
想像も理解もできなかったもののひとつ
1枚のクッキーから思い出す取るに足らない出来事
# by aobarasaita | 2012-05-21 20:54

