ANA国内線【PR】

硝子の三日月

aobara.exblog.jp

きまぐれ怠惰に徒然に


誰かのお土産のクッキーは
子供のころ母の知人が焼いてくれたクッキーと同じ味がした

バターと砂糖をたっぷりと使った
しっかりとした硬さのあるそれは
母の作るクッキーとは違った味がした

特別美味しいわけでも
おいしくないわけでもなかった

クッキーをつくるその人の横で
私は一生懸命レシピをメモした気がするのだけれど
そのレシピを見てクッキーを焼いた覚えはない


小さいころの記憶の断片


その家には猫がたくさんいて
私はそれを見るのが好きだった

その人には子供がいなくて
私を可愛がってくれていた気がする

私は彼女のことが好きでも嫌いでもなかった

ただ何となく異質なものだと思っていた

それはたぶん彼女が私の知らない母を知っていたから
私が居る前の世界の母を

あのころ
想像も理解もできなかったもののひとつ



1枚のクッキーから思い出す取るに足らない出来事


# by aobarasaita | 2012-05-21 20:54

凡庸な人生の中で
取り返しのつかないことなんかほとんどないし
だからといって完璧に成し遂げられることもそうそうない

分かっているけど割り切れないこと

そういうものが積もって溜まって
しくしくしくしく蝕んでいく


スイッチを入れなくていい日は
どうでもいいことがぐるぐるして動けなくなる

そこに残るものなど何もない空白の時間たち


とりあえず
きちんとしたものを食べようと思った

世間がはしゃいでいた日々の終わりに部屋から這い出てスーパーに行く


雨上がりの清明な空気は
夕方なのに朝みたいで
無為に過ごした休日の咎が赦されているような気がした


# by aobarasaita | 2012-05-08 23:40

この前まで満ちていた月がもう尖っている

そういえば
割れていた爪もいつしか伸びていた


人間の意思でどうにかなることなんて
きっとほんの僅かしかない

そしてそのほんの僅かのことに
その僅かなことすらままならないことにじたばたしている
ほとんど盲目的に


傲慢であると知ってしまうことは
無知であることよりもずっと苦しい





# by aobarasaita | 2012-04-18 01:10

からっぽなようで

よけいなものでごてごてしていて

捨て方がわからなくなってしまったものみたいな

そういう
なんとなく嫌な感じのするもの


きっと過去のどこかで間違ってしまったんだろうけど

それを今さら訂正するとか

そんな労力はかけていられない


ただの
日常なのだけれど





# by aobarasaita | 2012-04-14 21:15

  甲斐なきことをなげくより
  来たりて美き酒に泣け

  光もあらぬ春の日の
  独りさみしきものぐるひ


厭なことがあった日はよく酔える

独り静かに酒を飲む
独り静かに酒に酔う
独り静かに高笑い

このまま酔いが醒めなかったら幸せだと思う

このまま夜が明けなかったら幸せだと思う

このまま死ねたら幸せだと思う





# by aobarasaita | 2012-04-12 21:00

飛び越えたような幸せにも
恐らく煩雑な日常は無縁でなく

すべてを受け入れた穏やかさにも
恐らく逃れられない本能の邪魔がある


無駄に発達した人間の知能の行く末


向上心と諦念の狭間で
ずっと苦しみ続ける愚かで憐れな生き物たち





# by aobarasaita | 2012-04-10 12:46

たとえそれが
抱いていたものに反して
愉しくも快くもないものだったとしても

その事実を知ることができたということに
それはそれで有意義なことだったと思えたりする

はじめて触れたときなどは特に


今日はそんな街に行って来た


誰も負う責のない空しさ

何かを知るということにはいつも
多かれ少なかれそんなものがつきまとう


# by aobarasaita | 2012-04-09 22:49

どんな答えも不完全で
あらゆるものは不完全なまま
ただ時間だけが過ぎていく

所詮は幻想
不完全な生き物の不完全な頭が考えた完全という名の

そんなものにとらわれていてはいけないと
不完全であることを許容して前に進もうとは思うのだけど

だけどこんなに動物から離れてしまった生き物が
何の理想も理念も理由もないまま生きることなんかきっと出来ない

それでも現実は
生活に振り回されざるを得ないだけの生き物で

そういう矛盾に
私は日々狂いそうになる





# by aobarasaita | 2012-04-07 08:50

短くて長い明日と
長くて短い人生

確実に失われていくものと
望みもせずに手に入っているもの

抗うことと
足掻くこと


結末なんてそう変わりはしない

ありふれた追体験のために
人々は今日も生きている


# by aobarasaita | 2012-04-05 00:19

居場所はすぐになくなってしまう

むかしからそう
見つけてはなくなっての繰り返し


居場所がないと生きていけない
正確には居場所を見つけないと生きる覚悟が出来ない


探すことにも疲れてしまう

次の居場所には
どれくらい居られるんだろう





# by aobarasaita | 2012-04-04 03:59
< 前のページ 次のページ >